[レポート] D-9 ビジネスから開発まで、チーム全員で要件を磨く!今日から使える「実例マッピング」 – プロダクトマネージャーカンファレンス2022 #pmconf2022
2022年11月02日(水)、プロダクトマネジメントに携わる人たちが共に学び、切磋琢磨するイベント『プロダクトマネージャーカンファレンス2022』がオンライン形式で開催されました。
当エントリでは、ブレイクアウトセッション『ビジネスから開発まで、チーム全員で要件を磨く!今日から使える「実例マッピング」』の参加(視聴)レポートをお届けします。
目次
セッション概要
セッション概要は以下の通りです。
ビジネスから開発まで、チーム全員で要件を磨く!今日から使える「実例マッピング」
[登壇者]
・佐藤 里佳氏(アルプ株式会社/プロダクトマネージャー)
[セッション概要]
「実例マッピング」は、PM・デザイナー・エンジニア、営業やカスタマーサポートなど、多様な職種のメンバーが協調的に関わり「どんなものを作るべきか?」を明らかにしていく、30分のワークショップです。
アルプでは実例マッピングを導入して以降、要件定義の精度が高まり、後工程で発覚する仕様の漏れやバグによる手戻りを大幅に減少させることができました。
チームの力を最大限まで引き出し、納得感と自信をもって価値あるプロダクトを作っていきたいPMの方へ、ぜひアルプでの学びを紹介させてください。
(※以上、公式サイトより引用)
セッションレポート
自己紹介
- アルプ株式会社 プロダクトマネージャー
- BtoB サブスク事業者向け請求・販売管理SaaS(2022〜)に携わる
- 「実例マッピング」:チームで協議して「作るべきもの」を発見するのに役立つワークショップ
- サブスク事業者の人達が困っていること
- 料金プランと顧客ごとに異なる販売条件
- 時系列で変化する契約内容
- 事業が急成長し、販売が伸びるほど管理が困難になっていく → 属人化や請求ミスの温床に
- Scalebaseは何を解決する?
- 販売条件から料金を計算して請求書の発行までを自動化
- NRRやチャーンレートなど重要指標をリアルタイム表示
- 売上計上用のデータも出力
- 企業間の取引を支えている=お客さんの事業や信頼を託されている、真に「作るべきもの」を品質良く提供出来ることが大事
実例マッピング導入以前に起きていたこと
- 作ってみてから要件に不足があったことがわかる → リリース延期や修正対応が発生
- カスタマーサクセスや、機能を使う中で意識的・無意識的に色々な操作を試す
- ふと要件を検討したときには目を向けていなかった使い方を試してみたときに問題に気付く→このままだと困る人がいるのでリリースは取りやめになり、更に開発を行うことに(リリース失敗)
- どうしてこうなったか? 作るべきものを正しく捉えられなかったしくじりポイント2つ
- 問題(1).要件定義の段階で要望にあらわれてこないユーザーの使い方を拾えていない
- CSが知る「ユーザーの使い方」の具体例をなるべく参考にしたいが、要望の確認や背景を重ねても辿り着けていない
- 問題(2).要件レビューの段階で実際に作るべきものとのズレを見つけられていない
- 文書のレビューでは「要望とズレた内容が書かれていないか」に気を取られ「これで要望を満たせるか」の確認は難しい?
- 問題(1).要件定義の段階で要望にあらわれてこないユーザーの使い方を拾えていない
- みんなが充分に頑張っても、不安は晴れない/それ以上のことは仕組みで解決したい/もっと「作るべきもの」の精度を上げる方法はないのか?
- 「実例マッピング」で解決出来るかも!
実例マッピングとは?
- 機能に対するユーザーの使い方の具体例を意識的に集め、備えるべき要件を導くワークショップ
- PM・開発・ビジネス(CSなど)が集まり、観点の違う多くの具体例を検討して抽象化の精度を高める
アルプ流・実例マッピングのやり方
- 参加者
- プロダクトマネージャー
- 開発メンバー(エンジニア・デザイナー・QA)
- 機能への要求が分かる人(カスタマーサクセス・リサーチャーなど)
- 1名ファシリテータを設定し、付箋の読み上げや記入、タイムマネジメントを行う
- 付箋の用意
- Story: 議論したい機能やユーザーストーリー
- Rule: 具体例から導かれた、作るべき機能の要件「特定の条件において、どんなふるまいをするか」を書く
- Example: この機能の具体的な動作を質問形式で記入したもの 回答を実例として、抽象化したRuleを作成
- Question: 議論の中で「未決なこと」「不明なこと」が登場したらこれに書き留めておき、議論のブロックを防ぐ
- 開催前の周知
- 参加者に以下2点を共有し、理解した上で会話に参加してもらうよう依頼する
- 今回明らかにしたいこと(開催の目的)
- このユーザーストーリーの当事者とんるペルソナ → 実例を挙げやすくするため
- 参加者に以下2点を共有し、理解した上で会話に参加してもらうよう依頼する
- 作業進行手順
- 1.Storyにユーザーストーリーを簡単に書いて共有(3分)
- 2.思いつく限りExampleに具体例を挙げる(2分) - 「こういう条件のとき、◯◯はどうなりますか?」の形式で書く
- 3.議論しながらRuleを育てていく。適宜Exampleも追加していく(20分)
- 4.振り返りをして、次回の実例マッピングの予定を立てる(5分)
実例マッピングの活用方法
- 出来上がった成果物は以下のグルーピングが出来るようになっている
- 議題
- 決定事項
- 未決定事項
- シンプルなルールに従って会話をするだけで、情報の種別が整理された議事録が残る
- 何について話し、何が明らかになり、その根拠は何で、残る論点は何か、参加していないひとにも分かりやすい
- 1人で2時間悩む前に、数人で30分、実例マッピングをやってみよう
- 実例マッピング導入後の開発プロセス
- 実例マッピング導入後、みんなの不安が解消され、チームの一体感も増した
おわりに
- 実例マッピングはAgile Testingの実践として、要件をテストするためのBDDのプラクティス
- 実例マッピングは、以下のようなPMの本質的な活動の助けになる
- 自分だけでなくチーム内外の仲間の力を集結し、ユーザーにとって必要なものを特定する
- 作る目的やその先で実現したいことをチームの一人ひとりが理解し納得して、開発に集中出来る
- 高速にデリバリーし、フィードバックを得て、プロダクトを磨いていく
まとめ
という訳で、プロダクトマネージャーカンファレンス2022のセッション『ビジネスから開発まで、チーム全員で要件を磨く!今日から使える「実例マッピング」』の視聴レポートでした。